着物レンタル時の帯の選び方
Contents
- 1 貸衣装を選ぶ前に知っておきたい、着物と帯の基礎知識と組み合わせ方
- 2 着物に合う帯のバリエーション
- 3 祝い事やフォーマルな場での選択肢、着物の袋帯
- 4 名古屋帯は日常的にお太鼓結びを愉しむことが可能な便利な帯
- 5 カジュアルな帯として広く用いられる半幅帯
- 6 和装の美、帯の模様とバリエーション
- 7 ・【全通】連続するデザイン
- 8 ・「六通」の意匠
- 9 ・お太鼓柄(三通)
- 10 帯の結び方のおすすめ
- 11 太鼓結びとその起源
- 12 ・二重太鼓の組み合わせ
- 13 日常着としての一重太鼓の結び方
- 14 ・リボン入り太鼓結び
- 15 ・銀座結びと角だし結びの特徴
- 16 半幅帯による帯結びの方法
- 17 ・伝統的な文庫結び
- 18 ・シングルノット
- 19 ・二枚貝風の結び方
- 20 ・華やかさ際立つパタパタ結び
- 21 ・華やかな花結び
- 22 ・華やかなマリーゴールド結び
- 23 ・風船結びの魅
- 24 ・優雅ななでしこ結びについて
- 25 着物と帯、絶妙なマッチング
- 26 一つの着物に三つの帯?
- 27 着物の華やかさは四季の感性が鍵?
- 28 着物コーディネート、足し算か?
貸衣装を選ぶ前に知っておきたい、着物と帯の基礎知識と組み合わせ方
貸衣装(着物レンタル)で着物を試して街を散策したいとお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、着物の帯は種類が豊富で、どう選んだら良いか迷うこともあるでしょう。
実は、帯は着物の見た目を大きく左右する、非常に重要な要素なのです。
帯は元々着物を「留める、締める」ためのものでしたが、時代と共に「装飾する、美しく見せる」という役割も担うようになりました。
着物が素晴らしくても、帯が物足りないという状況を避けるために、この記事では着物と帯の組み合わせ方について詳しく解説いたします。
着物の前合わせについては、なぜ右が前なのか、その理由についてはこちらの記事をご覧ください。
帯の種類について詳しく知りたい方はこちらから、着物の半幅帯とお太鼓結びの帯の違いを理解し、貸衣装であなたらしく素敵に着こなしましょう!
着物に合う帯のバリエーション
着物を着る際に必要不可欠な帯ですが、その種類は大まかに袋帯、名古屋帯、そして半幅帯の三つに大別されます。
その差異は、「長さや幅」によって決まっています。
さらに、それぞれの帯が適しているシチュエーションも異なりますので、その点についても詳しくご案内いたします。
祝い事やフォーマルな場での選択肢、着物の袋帯
袋帯は、その幅が約31.2cm(8寸)に及び、長さは約430cm~450cm(1丈1尺8寸)となります。
一般的には、最高級の帯として位置づけられており、「礼装用」として着用されることが特に多いです。
成人式での華やかな振袖や、結婚式での格式高い留袖、さらにはパーティーでの訪問着など、様々な場面でその存在感を発揮します。
お祝い事の席では、「二重太鼓」などの豪華な結び方を活用するため、帯の長さは長めに設定されています。
これにより、一層華やかさが増すのです。
名古屋帯は日常的にお太鼓結びを愉しむことが可能な便利な帯
名古屋帯とは、その幅がおおよそ30.4cm(8寸)、長さが約360cm~380cm(1丈0尺0寸)となっております。
普段着としての小紋や紬などの着物に多く使用される帯であり、レンタル着物店でも主に名古屋帯が採用されていることもございます。
「一重太鼓」という形での太鼓結びも可能で、その結びやすさから袋帯と比べてもその長さは短めとなっております。
さらに、帯の柄によりますと、着物の「略礼装」として採用されることもございます。
カジュアルな帯として広く用いられる半幅帯
半幅帯とはその名の通り、幅がおおよそ17cm(4寸)で、長さが大体360cmから400cmほどの帯を指しまして、小紋や紬、浴衣といった「普段着」の着物に使われることが一般的です。
四季を通して活躍し、その細さと長さから締めるのが容易で、着物を気軽に楽しむことができます。
さらに、そのデザインや結び方のバリエーションが豊富で、カジュアルな場面に最適な帯として、レンタル着物店でもよく見かける人気のアイテムとなっております。
和装の美、帯の模様とバリエーション
着物を華やかに彩る帯には、その模様によって名付けられた種類が存在します。
そのうちの主要なものを3つご紹介いたします。
まず一つ目は、名前の通り全体に模様が施された「全通(ぜんつう)柄」です。次に、「六通(ろくつう)柄」は、帯の両端と中央部、
そして帯を二つ折りにした際の内側と外側に模様があしらわれているものを指します。
最後に、「太鼓柄」は、お太鼓結び部分にだけ模様が施されている帯を表します。
これらの種類ごとに用途やシーンが異なり、その選択によって着物の印象も大きく変わります。
・【全通】連続するデザイン
「全通柄」は、他に「総柄」または「通し柄」とも言われ、帯の先端から末端まで一貫して全体に美しい模様が描かれている事を示す表現となります。
これは、着物や振袖の装飾の一種で、その名の通り一連の模様が帯全体に広がっており、全体の調和を保ちつつも、個々の装飾が際立つ特徴があります。
・「六通」の意匠
全体の60%を模様が覆う「六通」は、その特性として帯に覆われて見え隠れする部分の模様は除かれているという特徴を持っております。
全体の60%を占める模様が特徴的な「六通」の柄。
しかし、その美しさは帯に隠れてしまう部分には施されていません。
これは、帯の下部分にあたる箇所に模様が施されていると、全体のバランスや美しさが損なわれてしまうからです。
このように、見えない部分にまで細心の注意を払いながら作られるのが、きものの意匠です。
その繊細さと深い思慮が、「六通」の柄には表現されています。
このような着物のデザインに関する知識を持つことで、一層着物や振袖の魅力を感じていただけることでしょう。
何気なく見ていた柄にも、実は深い意味が込められているのです。着物や振袖を見る眼差しが変わるかもしれませんね。
・お太鼓柄(三通)
お太鼓柄は、飛び柄やポイント柄とも称されます。
この名前の由来は、太鼓の部分と前面に模様が配置されていることからきています。
全体のデザインに占める模様の部分は、おおよそ3割程度となっております。
この特徴から、「三通(さんつう)」とも呼ばれているのです。
帯の結び方のおすすめ
帯の結び方は、伝統的なものから現代風のおしゃれな飾り結びまで、多彩に存在しております!
太鼓結びとその起源
着物における代表的な帯の結び方であるお太鼓結び。
その美しい後ろ姿は四角形を描き、まさに着物の象徴とも言える形状を持つ結び方であります。
この太鼓結びの名前の由来は、江戸時代、東京亀戸に所在する亀戸天神の太鼓橋が再建された際に、その出来事を記念し、芸者の方々が帯を横視すると太鼓橋の形に見えるような方法で結んだことから名付けられたとされています。
このエピソードは、日本の伝統的な装束である着物の一端を垣間見ることができ、その深い歴史と文化に触れる機会となります。
・二重太鼓の組み合わせ
礼装として最も一般的に使用される「袋帯」の結び方の一つがこの「二重太鼓結び」です。
ここでの「二重」は、太鼓を2つ重ねることを示しています。
この結び方は、幸せや喜びが重ねて訪れ、続いていくことを願っています。
これは日本の伝統的な考え方に基づいており、その美意識や精神を表現しています。
このように、着物や振袖には、ただ美しいだけでなく、深い意味が込められています。
日常着としての一重太鼓の結び方
「一重太鼓の結び方」は、名古屋帯を使った日常的な着付けに最適な結び方の一つです。
この結び方は、特別な場ではなく、普段の生活の中で着物や振袖を楽しみたいという方にとって、非常に便利な方法です。
特に、お出かけ前に素早く、しかし美しく着付けたいという際に、この一重太鼓の結び方は大変役立ちます。
あまり複雑な手順を踏まずに、それでいて華やかさを引き立てることができるのが、「一重太鼓の結び方」の特徴です。
是非この結び方をマスターして、日常生活の中で着物や振袖を更に楽しむ一助として頂ければと思います。
・リボン入り太鼓結び
太鼓結びの上部にリボンを取り入れる結び方について説明いたします。
これは、一般的な太鼓結びに、リボンを加えることで、より華やかさや愛らしさを引き立てる結び方となります。
・銀座結びと角だし結びの特徴
角だし結びとはお太鼓の下部が角張っていて、シャープな印象を与える結び方であります。
一方、銀座結びとはお太鼓の下部が丸みを帯び、女性らしい柔らかさを表現する結び方となっております。
これらの結び方は、一般的な結び方と比較して、洗練されており、大人の魅力を引き立てます。
これらの特徴を理解することで、より自分のイメージに合った結び方を選ぶことができるでしょう。
どちらの結び方も、着物や振袖を着る際に、自身の魅力を最大限に引き立てることができます。
半幅帯による帯結びの方法
浴衣(ゆかた)や日常的な着物の装いに取り入れられる半幅帯を用いた、シンプルだけれども魅力的な結び方から、豪華で目を引く飾り結びまで、私たちが特に推奨する結び方を詳しくご説明いたします!
・伝統的な文庫結び
着物や浴衣に欠かせない帯結びの基本である文庫結び。
この結び方は帯の結び目が水平になり、まるで小さなリボンのような形状を持っています。
これは、江戸時代の武家の女性たちが好んで用いていた方法で、清楚かつ上品な雰囲気を纏うことができます。
どのような着物にも適合し、自身で締める際も手間がかからず、容易に習得することが可能です。
・シングルノット
浴衣や着物において、よく採用されるシングルノット。
その名前が示す通り、一つの結び目になるため、シンプルながらも洗練された印象を放つことができます。
特に、背中部分がすっきりと見せることができるため、大人の女性らしさを引き立ててくれます。
このような結び方は、着物や浴衣の美しさを際立たせるだけでなく、着用者の品格や風格をも表現できるのです。
・二枚貝風の結び方
男女共に用いられる「貝の口結び」という結び方は、その名の通り二枚貝の口部分のように見える重なった二つの折り目が特徴です。
特に女性が用いると、格好良さと洗練されたスタイルを演出し、印象を一段と引き立てます。
さらに、この結び方は背もたれにもたれかかっても形が崩れにくいという利点があります。
それゆえ、長時間の移動を伴う乗り物移動などにも適しています。
このような観点からも、「貝の口結び」は非常に実用的で魅力的な結び方と言えるでしょう。
・華やかさ際立つパタパタ結び
一見すると、非常に複雑な結び方に見受けられますが、余裕のある帯をパタパタと紐に巧みに挟み込むだけで完成する、手軽さに富んだ結び方です。
結果として生み出される羽根のような要素が多数存在し、そのボリュームは羽根が織り成す華やかさを引き立てます。
さらに、腰回りもスッキリと見せる効果があります。
その固形性から形が壊れにくく、自由に動いたり、もたれたりすることが可能となります。
そのため、気軽に挑戦できる結び方と言えるでしょう!
・華やかな花結び
一般的に知られている文庫結びのリボンを三重に広げ、もしくは蝶結びの羽根部分を広げて花びらの形状を作り出す、それが花結びという装飾的な結び方です。
この花結びを選択することにより、一瞬で愛らしく、さらには華やかな印象を持つ装いに変身させることが可能となります。
着物や振袖のアクセントとして、ぜひ花結びをお試しいただきたいと思います。
・華やかなマリーゴールド結び
こちらは、ふたつの小さなリボンが特徴の結び方で、後ろ姿が格別に愛らしい印象を醸し出します。
この結び方は、振袖や着物をより一層魅力的に彩るための一つです。後ろから見た時の可憐さが際立つため、万が一後ろ姿を気にする場面があっても、このマリーゴールド結びならば安心です。
また、リボンの形状が小さく、デザイン性に富んでいるため、周囲の視線を惹きつけること間違いなしです。
特別な日に、一味違った印象を残したい方には最適な結び方と言えるでしょう。
・風船結びの魅
風船太鼓とも称される風船結びは、帯の模様の両面が紙風船のように見事に重なる結び方です。
風船結びは、その結び方次第で印象が変わります。ふんわりと緩やかに結べば、優しくやわらかな雰囲気を醸し出します。
一方、しっかりとタイトに結べば、洗練されたシックな印象を与えます。
また、背もたれにも持たれることが可能なため、着物を着る際の負担が軽減され、楽な着付けが可能になります。
風船結びの魅力を知れば、着物や振袖の楽しみ方が一層広がることでしょう。
・優雅ななでしこ結びについて
なでしこ結びという名の通り、和の美しさを引き立てる結び方でございます。
一見難しそうに見えるかもしれませんが、実はとてもシンプルな結び方です。
派手さを抑えつつも、羽が重なり合うような繊細な美しさを表現することが可能です。
これによって、着物の美しさを引き立てるだけでなく、腰回りもすっきりと見せる効果がございます。
着物を着る際の小技として、一度覚えてしまえばさまざまな場面で活用することができます。
特に、親しい方々との集まりや、ちょっとしたパーティーに出席する際には、派手過ぎず、しかし上品な印象を与えるなでしこ結びがおすすめです。
着物と帯、絶妙なマッチング
さて、着物レンタルにおける欠かせない存在、それが帯でございます。
着物と帯の組み合わせには基本的なルールが存在しますが、洋服同様に自由なコーディネートが可能であり、その自由度が着物の楽しみを一層引き立てると言えます。
では、着物と帯、どのようにマッチさせていけばよいのでしょうか。
一つの着物に三つの帯?
よく、「一つの着物に対し三つの帯」と言われますが、これは帯の変更だけで着物の全体的な雰囲気が大きく変わることを表しています。
レンタルされる着物が決まったら、ぜひ実際に様々な帯を合わせてみてください。
名古屋帯の全通柄などは、着物初心者の方でも取り扱いが容易で、着物の雰囲気を一新するのに適しています。
また、半幅帯は長さも十分にあり、幅が4寸となっているため、取り扱いが容易で、また飾り結びなどにも最適です。
各種帯の特性を理解し、自分のスタイルに合わせて選ぶことで、着物の楽しみが一層広がります。
着物の華やかさは四季の感性が鍵?
着物はその美しさを四季の移ろいと共に表現する、日本独特の文化のひとつなのです。
・袷(あわせ)は10月から5月まで(一年を通して着用可能)、
・単衣(ひとえ)は6月と9月、
・薄物(うすもの)は7月から8月、
といった具体的な着分けが、春夏秋冬それぞれに存在します。
これに伴い、帯も四季それぞれの風情が反映された柄を取り入れることで、更に一層の華やかさを加えることができます。
例えば、春は新芽や蝶、桜などの柄を、夏は藤やあやめ、魚や流水といった涼しげな柄を、秋は菊や紅葉、月といった、その季節感を反映したものを、冬は雪の華や椿、梅の花といった、季節感を引き立てる柄を取り入れることで、より一層の風情を表現することができます。
着物を通じて四季の美しさを楽しむ、これこそが日本の素晴らしい文化の一端なのです。
着物コーディネート、足し算か?
関西地方では、京風の華麗さや艶やかな組み合わせが評価され、よく「着物は足し算」と表現されます。
一方、関東地域では「着物は引き算」と言われ、洗練されて粋な見た目が好まれます。
これらは、どちらも間違いではないのです!このように、コーディネートにおいて、地域によっての好みや傾向が異なります。関西地域は豪華なものが好まれ、関東地域は粋なシンプルなものが好まれる傾向があるということです。自分はどっちが好きかなど自分の好みについても把握しておくとコーディネートの際に迷わないですね。
シンプルな無地の着物には全通柄の帯を合わせて、全体を引き締めてスタイリッシュな印象を与えます。
また、柄が部分的に入った着物には、淡い色調の全通柄の帯を合わせて着物の模様を強調させたり、 鮮やかな色の着物に太鼓柄の帯をポイントで使い、一方で同系色の着物には帯を合わせてさりげなくまとめたり、 あるいは、着物とは対照的な色調の帯を使ってクールな印象を与えたり、 模様の入った着物に模様の帯を合わせて派手で華やかに魅せることも可能です。
結論として、着物と帯のコーディネートは無限で、非常に自由なものなのです!
まずは、あなたに似合う色(パーソナルカラー)の着物をいくつか選び、それにさまざまな種類や模様の帯を合わせて全体のバランスを確認してみてください!特にお顔の周りにくる色が重要で合わせた際に顔が明るくなるものを選ぶと印象が良くなります。これも、年代によって似合うものが変化していきますのでまずは試してみて下さい。
さらに、着物の選び方、帯の選び方、帯の結び方などのコーディネートについても、どういった点でもご相談いただけますと幸いです!