前板と後板-着物の基本構造
振袖の小物事情 ~帯板(前板)・後ろ板・三重仮紐の解説~
本日は、振袖の装いを彩る小物について、その中でも質問が多い「前板・後ろ板・三重仮紐(トリプルかりひも)」について詳しく解説いたします。
振袖を着る機会がある方にとっては必見の内容です。
「前板と後ろ板の違いは何?」「どう使うの?」「これらは必要なの?」といった声に対して、分かりやすくまとめた内容をお伝えいたします。
どうぞ、これからの振袖選びや着付けの参考にしていただければ幸いです。
➀前板の特性と選び方
前板とは、着物を着る際に帯締めを締めた場合に生じる皺(しわ)を防ぐため、または美しい帯の見せ方をするために使用されます。
その名前が示す通り、正面の帯部分に配されます。利用方法には大きく分けて2つのタイプがあります。
まず一つ目は、ゴムバンドが付いているタイプです。
これは帯全体を一周させて、後方または横方向にあるフックに掛けるだけで安易に装着することが可能となります。
次に、ゴムバンドが付いていないタイプもあります。
こちらは帯を巻き付けている途中に帯の折り目の間に前板を挿入する形となります。
一番外側に配置することで、より一層ピシャリと締まったしわのない美しい帯の形状を作り出すことができます。
どちらの前板も選択肢としては問題ございません。
和遊館丸豊のスタッフからの意見では、
「着付けが容易な方を求めるのであれば、ゴムバンド付きの前板がおすすめ。」
という意見がでていました。
しかしながら、
・従来の硬質で重たい帯や厚手の帯は、ゴムバンドなしの前板を途中で挿入するのが困難であったり、挿入できない場合があります。
・夏用の帯や軽量な帯は柔らかすぎて、ゴムバンドなしの前板を一番外側に配置しなければ効果が薄れてしまいます。
・透け感のある帯の場合、色を適切に選ばないと前板が透けてしまいます。(ゴムバンドなしの場合)
・夏場は、汗をかいて蒸れる可能性があるため、へちまやメッシュ素材の前板が最適です。
といった意見も頂戴しております。
ですので、どの前板を選ぶか迷ったときには、
「自分で着るのかそれとも他人に着せてもらうのか」
「どの種類の帯を使用するのか」
といった要素を考慮し、シーンや用途、好みに最適な前板を選択をしていただければと思います。
➁背中側に使う、後ろ板
帯板は帯の背面(背中側)の位置に入れて使い、特に振袖や訪問着の際の「変わり結び」において利用されます。
日常的な着物の着方では「お太鼓結び」が主流で、帯の背後部はお太鼓により覆われてしまいますが、振袖を纏う(まとう)際には華麗に高い位置で帯を結ぶのが通例となっています。(代わり結び)。そのため、普段目に触れることのないこの部分にシワが寄らないように気を配る必要があり、それが帯板(後ろ板)の役割となります。
この後ろ板により、帯がしなやかに張り出し、見た目も美しく保つことが可能となります。
「後ろ板」の存在が創り出す美しいシルエット
帯を綺麗に見せるために欠かせないアイテムが「後ろ板」なのです。
これによって、美しい帯結びが固定され、魅力が引き立ちます。
ただし、一般的なお太鼓結びや角出し(つのだし)などの帯結びでは、必要となることは少ないです。
以前から質問が多かった内容として、「前板が2枚ある場合、その一方を後ろ板として活用しても問題ないのか?」というご質問がありました。
実は、後ろ板と前板は長さが違うだけで、見た目は非常に似ています。
ですから、それらを使い分けることも一見すると可能そうに思えます。
しかし、自身の胴にそれぞれの板を当てて確認してみてください。
もし板が少しでも重なってしまうようであれば、その板は長すぎて適切に使うことはできないのです。
どちらの板が前用なのか後ろ用なのか見分けがつかなくなった時は、実際に自身の身体に合わせてみることをお勧めします。
このように、後ろ板の正しい使い方を理解することで、着物や振袖の帯無結びが一段と美しくなります。
③三重仮紐(トリプル仮ひも)の魅力
三重仮紐は、その名称は多様で、「三重紐」や「トリプル仮紐」「トリプル紐」とも呼ばれることがあります。
袋帯や半幅帯を一層華やかに飾る【変わり結び】を施す際に活用される道具で、中心に重なり合った三本のゴム状の部分から成り立っています。
振袖に使用されるものは主に白やピンク色が多く、目立たないように隠して利用するのが一般的です。
半幅帯用のものは、特に見せる目的で紐部分がレース状になっていたり、帯揚げの役割も果たすことが可能なものも存在します。
写真のようにゴム部分は伸縮性があり、これを用いて美しく豪華な帯結びを実現します。
四重になっているものもある中で、三重であれば振袖の帯結びを十分に完成させることが可能です。
帯結びの美しさを引き立てる無数の羽は、この三重仮紐がなくては作ることはできません!
三重仮紐を使った帯結びのバリエーションは数え切れないほど存在し、その種類は日々増加しています。
④まとめ|完成度の鍵!
後ろ姿を彩る帯結びは、これらの小道具(後ろ板・三重仮ひも)があるからこそ美しく形成されます。
帯の位置は、高さがあるほど、飾り羽が多いほど派手で優美な印象を与えます。
しっかりと準備をして、愛らしい、スタイリッシュで豪華な帯結びで成人式を楽しんでください。
和遊館丸豊では、スタッフが一人一人に合わせて丁寧にアドバイスを提供します。
着物に関するご質問やご相談がございましたら、お気軽にお声掛けくださいませ。
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