伊達衿と半衿、衿芯の違いと役割

小物, 振袖, 着付け

半衿と伊達衿(重ね衿)は同じ物なの? 何がどう違うの?

着物の衿元を清潔、更に見た目の上もきれいに保つ役割を果たす「半衿」と、複数の着物を重ね着しているかのような見た目を作り出して、色彩のコントラストを楽しむことができる「伊達衿」(重ね衿とも呼ぶ)。
この一見似たようで異なる2つのアイテムは、着物愛好者の方々にとっては、深く探求せずにはいられない魅力的な存在です。
半衿と伊達衿(重ね衿)について、より詳細に探りたいと思います。

半衿とは何でしょうか?

半衿(はんえり)とは、一体何を指すのでしょうか?
半衿は、着物や振袖を着る際に欠かせない部分であり、その名の通り「衿の半分」を意味します。
着物を着るときに、着物の下に着る長襦袢に付いている、衿元に見える白い部分がこの半衿です。
そのため、半衿の色や柄、素材選びは着物全体の印象を大きく左右すると言っても過言ではありません。

素材については、絹や麻、ポリエステルなどさまざまありますが、一般的には絹が多く用いられます。
また、普段着用するものから、お祝いやパーティーなど特別な場所で着用するものまで、その用途も広範囲にわたります。

半衿の色や柄には、季節感を表現するものや、場所やシーンに合わせたものなど、着る人の気分や趣味を反映することができます。
例えば、結婚式などの華やかな場では、金や銀の糸で織りなす豪華な半衿を選ぶと良いでしょう。また、透けるような織り方の夏用など。季節によっても生地が違うなど季節感や見た目も大きく変わってきます。

着物を着る際には、半衿選びが一つの楽しみとなります。
素材や色、柄などにこだわりを持つことで、自分だけのオリジナルな着物スタイルを楽しむことができます。
半衿という一見小さなパーツですが、その選び方や合わせ方によって、着物全体の印象が大きく変わるため、その重要性を理解することで、より深く着物や振袖の魅力を感じることができるでしょう。

半衿の役割とその魅力とは?

半衿とは、通常1~1.1mの長さで、幅はおおよそ15cmの一枚布から成るアイテムです。

半衿は、化粧や汗等により着物の衿元が汚れるのを防ぐためのパーツで、長襦袢の衿へ縫い付けて使用します。
汗や食べ物で汚れやすい性質上、通常は着物を着替えるたびに長襦袢から外して取り替えるという手間が必要です。ただ、着物を一回着るごとに下に着ていた長襦袢を洗っているとお金も手間も大変なので半衿のみ外して洗って付け直すという昔の人の生活の知恵でもあります。

半衿は顔周りを飾る重要なアイテムであり、着物とのコーディネートや色味などの顔映りのバランスを考慮しながら、適切な選択を行います。
この選択の絶妙さが、着物を楽しむ大いなる魅力の一つであり、着物の上級者達が工夫を凝らすポイントでもあります。

特に成人式で身に着ける振袖などには、華やかな刺繍が施されたものや色とりどりの柄物など、楽しみながら選べる多彩な半衿が存在しています。

しかしながら、半衿の元々の目的は汚れ防止であるため、初期の半衿は汚れが目立たないように黒色が主流でした。
半衿が着物の一部としてのファッション性に注目され始めたのは、明治時代以降であると言われています。
そして大正から昭和初期にかけて、さまざまな工夫を凝らした半衿が生まれました。
その代表として、竹久夢二の「港屋絵草紙店」で販売された半衿は、当時の女学生を始めとする女性たちにとって憧れの的でした。

半衿は全ての着物に絶対要るのか?

半衿は、きものを装う際における重要な部分となります。
現代の着付けの慣習では、浴衣を除いたきものを半衿なしの状態で着るということは非常に稀です。
さらに、長じゅばんに半衿が存在しないと、衿芯を設置することができず、美しい線を描く衿を作ることが困難となります。また、半衿が長じゅばんについていない状態は、土台となる台衿が見えている状態で美しいものではございません。汚れ防止の目的と、着付けの際の衿元の綺麗さの演出、お顔への色味の付加の目的で必須となるアイテムです。

伊達衿の具体的な定義

「伊達衿」(重ね衿)とは、一体何でしょうか?
着物や振袖に詳しくない方々にとっては、馴染みのない言葉かもしれません。
しかし、日本の伝統的な装いに欠かせない要素の一つなのです。

伊達衿とは、着物や振袖などの衿元に見える部分を作るための布のことを指します。
実は、その見えている部分は着ている着物そのものではなく、別の布であることをご存知でしたか?
この伊達衿、見た目に美しさを添えるだけでなく、着物自体の汚れを防ぐ役割も果たしています。

また、季節や場所、自身の年齢によって伊達衿の色や柄を変えることで、その日の装いにさらなる繊細さをもたらします。
私たち日本人が古来より大切にしてきた、美しさと実用性を兼ね備えた、まさに「和」の精神を象徴するアイテムなのです。

伊達衿の実態とは?

伊達衿とは、もうひとつの名前で重ね衿とも称されています。
この伊達衿のサイズは、長さはおおよそ1.2~1.3m、幅は約10~12cmで、裏地がついた二重の仕立ての布から作られています。

伊達衿の主な役割は、着物の衿元に直接重ねることで、多層の着物を纏っているかのような錯覚を生むことです。
半衿も着物を美しく見せる効果がありますが、伊達衿を使うことで、着物と半衿の間に新たな色彩が加わり、更に胸元が華やかに映えます。

一般的に伊達衿は、半衿よりも厚みのあるしっかりとした布から作られ、着物と半衿の間に位置するため、光沢感のある鮮やかな色合いのものが多いです。

半衿と着物のコーディネートに、新たな色を加えることから、上級の色使いの技術が求められます。
伊達衿の色の選び方の基本は、帯揚げや帯締めの色に合わせたり、帯の中の柄の色に合わせたりします。
正装の場合では、着物や帯の色調に合わせることで一体感を出し、場の雰囲気に溶け込む着こなしを心掛けると良いでしょう。

伊達衿は本来、着物の衿元に直接付けるものですが、「着物に針を刺して穴を開けたくない」という理由から、長襦袢に取り付けるケースも見受けられます。和遊館丸豊では、伊達衿を縫い付ける際は、長じゅばんに縫い付けることを推奨しています。また、伊達衿の縫い付け自体を首の後ろ部分だけに限定することで、伊達衿が着物から見える生地の分量を調節できるので縫い付け方もしっかりと全体的に縫い付けることはしないようにしています。

常に必要とされるものなのか?

伊達衿という小物は、半衿とは違い、絶対に必要とは言えません。
これは、着物の中でも色彩のマッチングやレイヤリングを楽しむための装飾的な要素として利用されるアイテムと言えます。また、結婚して年齢的に中年代になってくると伊達衿を今度は付けないことが基本となってきます。白い半衿をベースとして伊達衿などで色味を入れないスタイルへと変化していきます。これらは、あくまでも昔からの慣例ですので絶対にそうしないといけないルールのようなものではないです。洋服の着こなしアレンジも年代ごとに着こなし方が変化していくといったことがあると思いますがそのようなイメージです。ただ、年代ごとのコーディネートですので気になった方はいろいろと試してみてください。

最後に

ではいかがでしたでしょうか?
「伊達衿」「重ね衿」「半衿」などの着物用語において、選択が難しいとされる「華やかさを演出するものの、同時に汚れを防ぐ機能も果たす衿」である半衿と、「純粋に装いを引き立てる衿」である伊達衿(重ね衿)。

半衿と伊達衿は一見似ているように見えますが、詳しく見てみると明確な違いが存在するのです。
半衿も伊達衿も、それぞれが着物の装いの中において大切な役割を果たし、それぞれの組み合わせによる楽しみが、着物愛好家を夢中にさせます。
是非とも、半衿と伊達衿を着物のコーディネートにおけるアクセントとして活用して頂きたいと思います。

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